2019.11.01 お役立ち情報
繰り上げ返済は損?損をしないための正しいタイミング
住宅ローンを利用すると、最長で35年間、毎月一定額の返済を続けることになります。
その支払期間や返済額を抑える方法の一つが、「繰り上げ返済」です。
よく「繰り上げ返済をすれば利息を軽減できるから、早い段階で行った方が良い」といわれますが、タイミングを見誤ると、かえって家計がピンチになるリスクもあります。
ここでは、繰り上げ返済の概要やメリットを把握しながら、損をしないタイミングについてお伝えします。
目次
繰り上げ返済とは?
繰り上げ返済とは、毎月のローン返済支払とは別に、まとまった自己資金を返済にあてることをいいます。
繰り上げ返済をすると、借り入れた元金を減らせますから、それに対してかかる将来の利息も抑えられます。
このため、返済期間を短くしたり毎月の返済額を減らしたりすることも可能で、将来ゆとりある暮らしを実現しやすくなるという利点があります。
「繰り上げ返済は、早い段階で行った方が良い」といわれるのは、元金を早々に減らすことで利息の支払いを抑えられることや、将来的に金利が上昇したときのリスクを抑えるという意味でもあるのです。
繰り上げ返済は「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類
住宅ローンの繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」という2つのタイプがあります。
それぞれの特徴を知り、どちらの方法で返済するかを決めることもポイントです。
「返済期間短縮型」とは
返済期間短縮型とは、残りの返済期間を短くする繰り上げ返済の方法です。
毎月の返済額は変わりませんが、返済額軽減型よりも利息の軽減効果が大きいため、多くの方が利用する返済方法でもあります。
たとえば、定年後もローンの返済が続く予定なら、できるだけ定年前に返済を終えたいと思っている方も多いでしょう。
また、早めに返済を終えることで老後の生活資金を蓄える余裕も出てきます。
こうした考えの方には、返済期間短縮型の繰り上げ返済が適しているといえます。
なお、返済額が少ないと期間は短縮されないこともあります。
いくら繰り上げ返済すると、どれくらい短くなるかを、借り入れした金融機関に確認しましょう。
「返済額軽減型」とは
返済額軽減型とは、毎月の返済額を抑える繰り上げ返済の方法です。
返済期間は変わりませんが、繰り上げ返済をした翌月には返済額が少なくなるため効果を実感しやすい方法ともいえます。
子どもの教育費に備えて家計を見直したい方や、転職や産休などで収入が一時的に減ることが予測される場合など、あらかじめ想定して返済される方が多いようです。
利息の軽減効果は、返済期間短縮型よりも小さいといわれます。
詳しくは、次の項目で解説しましょう。
返済期間短縮型と返済額軽減型のシミュレーション
期間は短縮できても返済額は変わらない「返済期間短縮型」と、返済額は少なくできても期間は変わらない「返済額軽減型」。
いずれも一長一短ありますが、一般的に支払う利息が少なくなるのは返済期間短縮型だといわれます。
ここで、以下の条件で借り入れた住宅ローンの繰り上げ返済で、比べてみましょう。
●借入条件
・借入金額:3,000万円
・返済期間:35年
・金利:1.4%(全期間固定金利)
・ボーナス払い:なし
この条件のトータル返済額は約3,797万円で、毎月のローン返済額は9万393円になります。
この借入条件で、ローン実行から2年目に100万円の繰り上げ返済をします。
その効果を、返済期間短縮型と返済額軽減型で比べたのが、以下の表です。
返済期間短縮型 | 返済額軽減型 | |
---|---|---|
残りの返済期間 | 31年6ヵ月(1年6ヵ月短縮) | 33年 |
月々の返済額 | 90,393円 | 87,225円(3,168円軽減) |
利息軽減額 | 約59万円 | 約25万円 |
試算すると、返済期間短縮型の方が34万円分の利息支払いが抑えられるという結果となりました。
同時期に同額の返済をする場合、利息を減らすという観点で見れば返済期間短縮型がお得といえますが、どうしても返済金額を抑えたい方など、その時々の状況にもよりますので、迷われたら金融機関の窓口などに相談すると良いでしょう。
繰り上げ返済のタイミングは早い方が良い?
繰り上げ返済を行うときは、そのタイミングも重要なポイントです。
よく「早く返済した方が良い」といわれるのは、支払利息を抑えられるからです。
たとえば、以下の条件で繰り上げ返済を10年目にする場合と20年目にする場合で、比べてみましょう。
●借入条件
・借入金額:3,000万円
・返済期間:35年
・金利:1.5%(全期間固定金利)
・ボーナス払い:なし
この条件で、200万円の繰り上げ返済(返済期間短縮型)を行った利息の軽減効果が以下です。
ローン実行から10年目 | ローン実行から20年目 | |
---|---|---|
短縮される返済期間 | 2年8ヵ月 | 2年3ヵ月 |
利息軽減額 | 約85万円 | 約46万円 |
短縮される返済期間は5カ月ほどの差ですが、軽減できる利息の額については、10年目なら約85万円も抑えられるのに対し、20年目だと46万ほどしか抑えられないことになり、約39万も軽減します。
このように、ローン実行から早いタイミングで繰り上げ返済を行った方が、後々に支払う利息を抑えられるのです。
ただし、注意点として「住宅ローン控除」も併せて検討する必要があります。
住宅ローン控除と住宅ローン繰り上げ返済のタイミングの関係
住宅ローンを利用されている方の多くが、「住宅ローン控除」を受けているでしょう。
住宅ローン控除とは、ローン残高の1%を控除限度額(上限40万円)に、所得税や住民税が還付される制度です。
しかし、繰り上げ返済を行うとローン残高が減るため、控除額(還付金)も少なくなります。
そこで、「繰り上げ返済は住宅ローン控除が終わってから行った方が良い」という声も聞かれるようです。
住宅ローン控除は住み始めてから13年(令和2年12月31日まで)と期限があります。
このため、繰り上げ返済は14年目から行った方が良いという考えです。
実際のところ、ローン残高、繰り上げ返済の金額、契約者の年収、市況の金利といった諸条件によっても異なるため、「住宅ローン控除が終わった後に繰り上げ返済をした方がお得」とは必ずしもいえません。
一般的には、住宅ローンの借入額が多い方や、金利が高い状況であれば繰り上げ返済をしたほうが有利とされます。
ただ、現在のような低金利の場合、しかも住宅ローン控除期間が13年に延長されている今なら、繰り上げ返済のタイミングをしっかり見極める必要があるでしょう。
金融機関の窓口などでシミュレーションをしてくれるところもありますので、どちらが得策を相談して確認しましょう。
損をしないための住宅ローンを繰り上げ返済するタイミングとコツ
繰り上げ返済は、ローン実行後の早い段階からこまめに返済することで、支払利息を抑えられます。
そのタイミングは、人それぞれ千差万別です。それは、まとまった自己資金をどれくらいの期間で貯められるかによるからです。
たとえば、資金が100万円貯まるごとに繰り上げ返済していくという目標を立てる場合、それがいつ実行されるのかは収入や家計などによって異なるでしょう。
無理して繰り上げ返済をすれば、その後に万が一、家族が病気になったり収入が減ってしまったりといったトラブルに対応できなくなる可能性もあります。
特に返済期間短縮型の場合は、月々のローン返済額は変わりませんので負担が重く感じられるでしょう。
いざというときの貯蓄を確保しつつ、ゆとりがあるときに繰り上げ返済をするよう、計画性を持って実行するのが、損をしない返済法だといえます。
繰り上げ返済をする際の注意点
繰り上げ返済をする際には、最低限、知っておきたい注意点がいくつかあります。
繰り上げ返済には手数料がかかる
繰り上げ返済はこまめに実行すると良いともいわれますが、金融機関によっては1回あたり数万円の手数料がかかる場合があります。
ネット銀行の住宅ローン商品には無料で繰り上げ返済ができるところもありますが、銀行、とりわけ地方銀行だと手数料を高く設定しているところもありますので、実行する前に手数料についても確認しておきましょう。
返済額は住宅ローン商品によって異なる
一度に繰り上げ返済をできる額は、金融機関や住宅ローン商品によって異なる点も注意です。
一部金融機関の窓口では数万円程度から対応できるところもありますし、ネット銀行であれば10万円以上が基本。
住宅金融支援機構が提供する「フラット35」に関しては、100万円以上が条件となっています。いくらから繰り上げ返済できるかもチェックしておきましょう。
団体信用生命保険の保証に影響が出ることも
住宅ローンを利用される方なら、団体信用生命保険(団信)に加入されると思います。
この保険は、契約者に万が一のことがあってローン残債が払えなくなった場合、保険会社が代わりに支払うという制度です。
なお、一般的な生命保険でいう満期は「ローン完済時」になります。
つまり、繰り上げ返済をすると満期が早まり、返済が終わった段階で保証期間も終わります。
つまり、返済終了後に契約者が亡くなったり重度障害になったりした場合には、団信から保険金は支払われません。契約者が重篤の場合には、繰り上げ返済を控えた方が良いでしょう。
まとめ
住宅ローンをトータルで見れば、繰り上げ返済をすることで返済額を抑えられるというメリットがあります。
だからといって、無理に返済すると家計が苦しくなったり、万が一の時に対応できなくなったりというリスクもあります。
大切なことは、タイミングを見計らって計画的に返済していくこと。
いまの家計から繰り上げ返済に充てられる金額はどれだけなのか、あるいは住宅ローン控除額にどれくらい影響が出るのかなどトータルで考え、正しい返済時期を見定めることが損をしないポイントです。
場合によっては、他の住宅ローン商品に借り換えた方が支払額を抑えられることもありますので、専門家に相談しながら損をしない方法を見つけましょう。
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