2022.03.29 お役立ち情報
借金があると住宅ローンは組めない?借金がある場合の住宅ローン利用術
「借金がある人は住宅ローンが使えない」という話を、耳にしたことはありませんか?
自動車ローンやカードローンなどをすでに借り入れている方であれば、住宅ローンの審査に影響しないかと気になっている方もいらっしゃるでしょう。
借金があっても、住宅ローンの契約はできるのでしょうか。
また、どのようにすれば審査に通りやすくなるのでしょうか。
今回は、借金があるときの住宅ローンの契約について解説します。
目次
借金があっても住宅ローンの審査に通るのか?
結論からいうと、借金があっても住宅ローンの審査に通ります。
実際に、自動車ローンなどを借り入れている方でも、住宅ローンの審査に通り多額の融資を受けられた方はたくさんいらっしゃいます。
ただし、借金の額や理由によっては審査に通らないこともあるので注意が必要です。
たとえば、年収がそれほど多くないのに借金の額が大きい人の場合、金融機関から「返済が滞るリスクが高い」とみなされ、審査に通らない可能性があります。
また、借金の理由についても審査に影響が出ることがあります。
金融機関に住宅ローンの審査を申し込むとき、借金がある方は借金額や借入先のほか、融資の目的も申告する必要があります。
そこに、使途不明な多額のキャッシングや消費者金融の借金などがあると、「計画性がない人物」と見られ、審査に通らないこともあるのです。
金融機関の審査基準には、収入(年収)や年齢などに加え借金についても基準に設けてチェックしていますから、ほかに借り入れているローンがある方は注意しましょう。
住宅ローン審査では返済負担率が重視される
借金の額について、具体的にどれくらいの借り入れがあると審査に通りにくくなるのでしょうか。
その目安となるのが、「返済負担率(返済比率)」です。
返済負担率とは、年収に対する年間返済額(借金)の割合のことです。
多くの金融機関では、返済負担率を30%前後に設定しており、返済額のなかには住宅ローンのほかにも自動車ローンやカードローンなどの融資額も含んで計算されます。
たとえば、年収400万円の人が返済負担率30%の金融機関から借り入れる場合、年間返済額の上限は120万円です。
住宅ローン以外に借り入れがなければ年間120万円までの融資が受けられますが、自動車ローンに年間30万円、カードローンに年間20万円の支払いがある方だと、住宅ローンは70万円までしか借り入れできないことになります。
つまり、借金がある方は借入可能額が少なくなるため、収入に見合う希望借入額でも審査に落ちることがあるのです。
なお、返済負担率は25%前後にするのが理想だといわれます。
年収400万円の方だと、税金などを差し引いた手取り給与は25万円くらいでしょう。
返済負担率が30%だと、年間の返済額は120万円、毎月10万円の返済が続くことになり、給料の4割前後が借金返済に消えていくことになります。
借りられる額と返せる額は違いますから、返済負担率を25%くらいにすると無理のない返済プランを立てられます。
住宅ローンの審査で借金があることを隠せるの?
住宅ローンの審査を申し込むときには、借金額や借入先などを申告する必要があります。
「だったら、借金を申告しなければ大丈夫では?」と、思う方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、本人が申告しなくても金融機関では信用情報機関から個人の借入情報を照会して裏取り調査も行っていますから、隠し通すことはできないと考えてください。
それどころか、借金があるのを隠すと「虚偽の申告」とみなされ、審査に通らない可能性が高くなります。
申込書には正直に書くことが大切です。
なお、信用情報機関に照会する借入情報には、借入先や借入額、残債、滞納履歴といった情報が記載されています。
しかも、金融機関がチェックするのは申し込み時点の情報だけではなく過去数年までさかのぼって調べています。
その中に延滞や滞納の履歴が残っていると、住宅ローンの審査で不利になりますから注意が必要です。
信用情報に「異動」の記載がある場合はどう対応する?
他のローンで延滞を繰り返したり長期間滞納したりすると、信用情報機関の借入情報に「異動」と記載されることがあります。
異動(異動情報)とは、金融事故のこと。
簡単にいうと「この人に住宅ローンを貸すと、踏み倒される可能性がある」という情報です。
信用情報機関の借入情報に「異動」が記載されている方は、住宅ローンだけでなくほかのローンの審査にも通らないと思ってください。
異動が記載されるケースは、延滞や滞納のほかにも、保証会社が代わりに返済した場合や、破産宣告(破産手続の開始が決定)したケースなども含まれます。
では、異動情報がある方は住宅ローンが永久に使えないかといえば、そうとも限りません。
先ほども伝えたように、金融機関が信用情報機関の借入情報をチェックするのは過去数年まで。
具体的には5~10年までさかのぼるといわれます。
少なくとも5年先であれば、異動情報は消えていますから、その後であれば住宅ローンの審査に通りやすくなるでしょう。
ちなみに、信用情報は個人で取り寄せることも可能です。
カードローンなどの支払いで遅延や滞納の経験がある方は、信用情報機関から取り寄せて確認しましょう。
住宅ローン審査をしたら家族に借金がバレてしまう?
借金を抱えている方の中には、ご家族には内緒にしている方がいらっしゃるかもしれません。
住宅ローンの審査に申し込むと、審査結果などで「申告した借金が家族にバレてしまうのでは?」と申し込みを躊躇されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
借金の内容も個人情報です。
たとえ家族であっても、金融機関から借金の内容について伝えることはありませんので、ご安心ください。
仮に審査に通らなかった場合でも、その理由を金融機関から伝えることはありませんし、内緒の借金があっても家族に伝わることがないよう配慮してくれます。
注意しなければいけないのは、申込書類を作成するときです。
借金を抱えている方が契約者であれば、一人で作成することで家族に知られることはないでしょう。
ただ、ペアローンや連帯債務のような収入合算タイプの住宅ローンの場合、家族と一緒に書類を作成したり二人で窓口に申し込みに行ったりした際に、秘密にしていた借金が知られる可能性があります。
書類は一人で作成する、窓口にはそれぞれ別の日時に行くなどの工夫が求められます。
税金の滞納があっても住宅ローンは利用できる?
住宅ローンの審査で、通過するのにもっとも難しいケースが「税金を滞納されている方」です。結論からいうと、申し込み時に滞納している人は住宅ローンを利用できません。
税金を納めるのは、国民の義務です。
万が一、債務整理や自己破産をした場合でも、未納の税金が免除されることはありません。
もちろん、住宅ローンなどの支払いよりも納税のほうが優先されます。
また、金融機関からみれば貸し倒れのリスクが高いため、契約したくない人でもあります。
住宅ローンを契約する際には、土地や建物に抵当権が設定されます。
これは、万が一契約者が住宅ローンを返済できなくなったときに、金融機関が物件を差し押さえて競売などにかけられる権利ともいえます。
しかし、この契約者が税金を滞納して住宅などの財産が差し押さえられた場合、金融機関は手出しができず、納税の方が優先されてしまうのです。
なお、税金の滞納を隠していても審査時に提出する住民税決定通知書や納税証明書で未納であることが判明します。
未納の税金がある方は、すべて納めた上で住宅ローンを申し込むようにしましょう。
借金がある人の住宅ローン審査対策
借金を抱えている方は、住宅ローンの審査に少なからず影響を及ぼします。
では、影響をできる限り抑えるには、どうすれば良いのでしょうか。
審査の対策術をいつか紹介しましょう。
住宅ローン以外の借金を完済する
もっとも効果的なのが、住宅ローン以外の借り入れを完済することです。
ほかの借り入れが少なくなれば、その分、住宅ローンの借入可能額を増やせますから、希望額でも審査に通りやすくなるでしょう。
すべての借金を完済するのが難しい場合は、毎月の返済額が大きいものや、使途不明とみられやすいカードローンやキャッシングなどを優先して完済しましょう。
ただし、一定の自己資金がある方は、住宅購入の頭金に充てるほうが得になることがあります。
そもそも、頭金があれば借入額を減らせますから審査に通りやすいですし、頭金が多いと金利が優遇される住宅ローンもあります。
借金返済に充てるよりも、頭金に充てた方が有利になる場合は、無理をしてほかの借り入れを完済する必要はありません。
新たな借り入れはしない
住宅ローンを申し込む前後に、新たな借り入れをしないこともポイントです。
特に、カードローンの利用が多い方は、住宅ローンの本審査に通るまでは現金払いにするなど、返済負担率が高くならないように工夫しましょう。
返済期間を長くする
返済期間を長くすれば、毎月の返済額を抑えられます。
つまり、返済負担率に占める住宅ローンの割合も抑えられ、審査に通りやすくなります。
ただし、返済期間が長くなると利息負担が大きくなり、トータルの返済額が増える点には注意が必要です。
住宅の購入時期を見直す
住宅ローン以外の借金が多い方は、家の購入時期を見直すのも一手です。
ある程度の借金返済をした後で、マイホームの購入計画を立てた方が資金計画を立てやすくなります。
返済と同時に、新たな借り入れはしないこと、貯蓄を増やすことも念頭に置き、住宅ローンの審査に通りやすい状況をつくることがポイントです。
まとめ
住宅ローンの審査は、借金がある人でも通ります。
ただし、借金がない方が審査に有利ですし、借入可能額を増やすことも可能です。
借り入れが多い方は、優先順位をつけて返済した後で住宅ローンの申し込みをされることをおすすめいたします。
住宅ローンも、借金の一つです。
しかも返済期間は30年以上に及びます。無理のない返済プランを立てる上で、計画性をもって利用することも肝に銘じておきましょう。
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