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2024.08.27 お役立ち情報

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?シミュレーションや注意点も


住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?シミュレーションや注意点も

この記事では、住宅ローン控除とふるさと納税は併用できるのかについて解説します。

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも所得税や住民税に係る税金を抑えられる節税制度です。特徴を押さえて活用できれば、大幅な節税効果を得られるでしょう。

この記事では、2つの制度の基礎知識や併用する際の注意点も紹介します。併用時の控除額をシミュレーションで計算してお伝えするので、住宅ローン控除とふるさと納税を併用したいと考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてください。

【この記事でわかること】

● 住宅ローン控除とふるさと納税の基礎知識

● 住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能

● 住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときの注意点

● 住宅ローン控除とふるさと納税の併用をシミュレーションで計算

住宅ローン控除とふるさと納税の基礎知識

ここでは、住宅ローン控除とふるさと納税それぞれの基礎知識を紹介します。

  • 住宅ローン控除とは?
  • ふるさと納税とは?

それぞれ見ていきましょう。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、ローンを利用して家を購入した際に所得税の控除を受けられる制度です。

入居時から最長13年間に渡り、年末時点でのローン残高の0.7%を控除できます。

所得税から控除しきれない場合は、翌年度の住民税から税金が控除されます。2024年に入居する場合の借入限度額や控除期間は以下の通りです。

住宅の種類 令和6年・7年に入居した場合の住宅ローン控除限度額 子育て世帯等が令和6年中に入居した場合の住宅ローン控除限度額 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円 5,000万円 13年
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円 4,500万円 13年
省エネ基準適合住宅 3,000万円 4,000万円 13年
その他の住宅 0円※ 0円※ ー※

※参考:住宅ローン減税丨国土交通省

※2023年12月31日までに新築の建築確認を受けた住宅については、借入限度額2,000万円、控除期間10年

住宅性能によって、控除対象となる借入限度額にも違いがあります。2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、原則、省エネ基準に適合していないと住宅ローン減税を受けられません。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、生まれたふるさとや応援したい自治体に寄付できる制度です。自治体に寄附をすると、その寄附金額の一部が所得税および住民税から控除されます。

自分で寄付したい自治体を選べるうえ、地域の名産品を受け取れる点がメリットです。寄付金のうち2,000円を超える部分については、住民税の減額や税務署から所得税の払い戻し(還付)を受けられます。

お礼品の金額は寄付額の3割以内が目安で、例えば5万円の寄付をした場合は1万5,000円以内の品物が送られてきます。

ふるさと納税を行って所得税・住民税の控除を受けるには、原則、確定申告が必要です。

住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能

結論、住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能です。ここでは、以下の制度も併せて利用する場合のポイントを解説します。

  • ワンストップ特例制度を利用する場合
  • 確定申告する場合
  • 医療費控除を利用する場合
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する場合

上記4点を順番に見ていきましょう。

ワンストップ特例制度を利用する場合

ワンストップ特例制度とは、ふるさと納税をした後に確定申告をしなくても寄付金控除が受けられる制度です。

この制度を利用する場合、『寄附金税額控除に係る申告特例申請書』に必要事項を記入して、寄付した自治体に送ります。この場合、所得税からは控除されずに全額が翌年度分の住民税から控除されます。

ワンストップ特例制度のメリットは以下の通りです。

  • 確定申告をしなくても寄付金の控除を受けられる
  • 手続きが簡単

会社員など確定申告の必要がない人にとって、要件を満たせば確定申告せずに寄付金控除を受けられる手軽さが魅力です。ワンストップ特例制度の対象者は確定申告が不要な給与所得者などで、ふるさと納税先の自治体数が5つ以内であることが要件です。

※参考:ふるさと納税のしくみ|ふるさと納税の流れ丨総務省

確定申告する場合

ワンストップ特例制度を使わず、寄付金受領証明書を使って確定申告する場合は注意してください。住宅ローン減税よりふるさと納税が優先されるため、住宅ローン減税の住民税からの控除上限を超えてしまい、控除額で損してしまうおそれがあります。

なお、ふるさと納税で確定申告する場合、所得税と住民税が控除対象です。所得税はその年に納めた税金から還付され、住民税は翌年の税額を計算する際に控除が適用されます。

医療費控除を利用する場合

ふるさと納税は、医療費控除とも併用できます。併用する際には以下2点に注意しましょう。

  • ワンストップ特例制度は利用できない
  • 医療費控除を受けるとふるさと納税の控除限度額が減る

確定申告で申請する医療費控除をふるさと納税と併用すると、確定申告を行わないワンストップ特例制度は利用できません。

医療費控除を申請すると課税所得額が減るため、ふるさと納税の控除限度額も減ってしまいます。併用する前には必ず、ふるさと納税の控除限度額を再計算してから行いましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する場合

『iDeCo(イデコ)』の正式名称は『個人型確定拠出年金』で、老後資金を準備する目的で設立された制度です。

iDeCoとふるさと納税は併用可能ですが、iDeCoを利用していない場合と比較すると、ふるさと納税で控除される上限額が低くなってしまうおそれがあります。

ただ、ふるさと納税の限度額が減ってもiDeCoによる節税効果があり、ふるさと納税の返礼品も受け取れるため、一般的にはメリットのほうが大きいとされています。

住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときの注意点

住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときは、以下2点に注意しましょう。

  • 計算ミスに注意する
  • 控除ロスが発生する場合でもなるべく併用を優先する

それぞれの注意点を解説します。

計算ミスに注意する

住宅ローン控除を適用するためには、確定申告が必要です。その際、住民税から控除される限度額に注意しましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税の控除金額の合計が所得税額を上回ってしまうと、上回った分の控除額を損してしまいます。住宅ローン控除とふるさと納税を併用するときは、しっかり計算して限度額を超えていないかを確認することがポイントです。

控除ロスが発生する場合でもなるべく併用を優先する

住宅ローン控除とふるさと納税を併用すると、住宅ローン控除で受けられる控除額が減ってしまうケースがあります。しかし、控除ロスが発生するとしても、一般的にはそれほど大きな損失にはなりません。

ふるさと納税には、地域の名産品を自己負担2,000円でもらえるメリットがあります。そのため、控除ロスが発生する場合でもなるべく併用を優先しましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税の併用をシミュレーションで計算

ここでは、住宅ローン控除とふるさと納税を併用した場合をシミュレーションしましょう。

  • 年収300万円の場合
  • 年収400万円の場合
  • 年収500万円の場合

以下の3つの年収ごとに解説します。

年収300万円の場合

年収300万円の場合、以下の条件でシミュレーションしましょう。

● 年収:300万円

● 配偶者:なし

● 所得税:約16万円(年間)

● 住民税:約12万円(年間)

● 社会保険料:約43万円(年間)

● 住宅ローン控除:約30万円(年間)

● 全額控除されるふるさと納税上限額:年間約2万8,000円(※)

※うち自己負担2,000円

<確定申告した場合>

所得税16万円からふるさと納税の控除額2万8,000円を引くと、残り13万2,000円です。所得税の残り13万2,000円から住宅ローン控除30万円を引くと、16万8,000円が控除しきれません。そのため、住民税から控除します。

住民税から控除される住宅ローン控除の上限額は9万7,500円であるため、7万500円が控除しきれないまま残ってしまいます。

<ワンストップ特例制度を利用した場合>

住宅ローン控除30万円のうち所得税の16万円が控除され、控除しきれなかった14万円は住民税から控除します。

住民税から控除される住宅ローン控除の上限額9万7,500円からは14万円を控除しきれないため、4万2,500円が残ります。4万2,500円からふるさと納税の控除額2万8,000円を引くと、控除しきれなかった税額は1万4,500円です。

年収400万円の場合

年収400万円として、以下の条件で計算してみます。

● 年収:400万円

● 配偶者:なし

● 所得税:約26万円(年間)

● 住民税:約18万円(年間)

● 社会保険料:約57万円(年間)

● 住宅ローン控除:約30万円(年間)

● 全額控除されるふるさと納税上限額:年間約4万2,000円(※)

※うち自己負担2,000円

<確定申告した場合>

所得税26万円からふるさと納税の控除額4万8,000円を引くと、残り21万2,000円です。所得税の残り21万2,000円から住宅ローン控除30万円を引くと、8万8,000円が控除しきれないため、住民税から控除します。

住民税から控除される住宅ローン控除の上限額は9万7,500円であるため、9,500円が残ることになります。

<ワンストップ特例制度を利用した場合>

住宅ローン控除30万円のうち所得税の26万円が控除されるので、控除しきれなかった4万円は住民税から控除します。

住民税から控除される住宅ローン控除の上限額9万7,500円から4万円を控除すると、5万7,500円が残ります。そこから、住民税の住宅ローン控除額5万7,500円からふるさと納税4万2,000円が控除されるので、控除しきれなかった額は1万5,500円です。

年収500万円の場合

年収500万円の場合は以下の条件で計算してみます。

● 年収:500万円

● 配偶者:なし

● 所得税:約43万円(年間)

● 住民税:約56万円(年間)

● 社会保険料:約70万3,500円(年間)

● 住宅ローン控除:約30万円(年間)

● 全額控除されるふるさと納税上限額:年間約6万1,000円(※)

※うち自己負担2,000円

<確定申告した場合>

所得税43万円からふるさと納税の控除額6万1,000円を引くと、残り36万9,000円です。所得税の残り36万9,000円から住宅ローン控除30万円を引くと、6万9,000円が控除しきれません。

住民税から控除される住宅ローン控除の上限額は9万7,500円です。2万8,500円が控除しきれないまま残ります。

<ワンストップ特例制度を利用した場合>

住宅ローン控除30万円のうち所得税の43万円が控除され、控除しきれなかった7万円は住民税から控除します。

住民税から控除される住宅ローン控除の上限額9万7,500円からは7万円を控除しきれないため、2万7,500円が残ります。2万7,500円からふるさと納税の控除額6万1,000円を引くと、マイナス3万3,500円になるため、満額控除が可能です。

住宅ローン控除とふるさと納税の併用に関するよくある質問

ここでは、住宅ローン控除とふるさと納税の併用に関するよくある質問を紹介します。

  • 事前のシミュレーションと実際の控除限度額が異なる原因は?
  • ふるさと納税による限度額の早見表は?

1つずつ見ていきましょう。

事前のシミュレーションと実際の控除限度額が異なる原因は?

控除額を入力し忘れた場合などに、控除限度額が異なると考えられます。

また、入力欄がないシミュレーターで計算した場合も、シミュレーションと実際の控除限度額が違う原因の1つです。計算する際には、十分注意して行いましょう。

ふるさと納税による限度額の早見表は?

ふるさと納税額の限度額は家族構成や年収によって異なります。目安例をまとめた表は以下の通りです。

(単位:円)

        ふるさと納税をした人の家族構成
年収 独身・共働き

夫婦

共働き+子1人(高校生) 共働き+子2人(大学生と高校生)
300万円 28,000 19,000 19,000 7,000
500万円 61,000 49,000 49,000 36,000
700万円 108,000 86,000 86,000 75,000
900万円 152,000 143,000 141,000 128,000
1,000万円 180,000 171,000 166,000 153,000
1,500万円 395,000 395,000 377,000 361,000
2,000万円 569,000 569,000 552,000 536,000

※参考:全額(※)控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安 (※) 2,000円を除く丨総務省

住宅ローン控除とふるさと納税の併用を上手く活用して失敗を防ごう

この記事では、住宅ローン控除とふるさと納税の併用について解説しました。

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも効果的に使える節税制度であり、併用することで大きな効果を見込めます。特徴や限度額をしっかりと把握したうえで活用しましょう。

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