2023.12.27 お役立ち情報
老後の住み替えはマンションか戸建てどっち?メリット・デメリットで比較
この記事では、老後の住み替えはマンションか戸建てどちらがよいのかを解説していきます。
「夫婦二人だけのセカンドライフを、新しい住まいで暮らしたい」と老後の新居計画を立てている人は少なくありません。近年は、郊外の戸建てから都市部のマンションに移り住む熟年層が増えています。
一方で、老朽化した戸建てをリフォームや建て替えをして暮らす人も多くいます。
この記事では、メリットやデメリットを含め、マンションか戸建てか選ぶ際のポイントを解説していきます。老後の住み替えでお悩みの人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
● 老後の住み替えでマンションに住むメリット・デメリット
● 老後の住み替えで戸建てに住むメリット・デメリット
● 老後の住み替えを成功させるためのポイント
● 老後にマンション・戸建てが向いている人の特徴
● 老後の住み替えを考えるのに適したタイミング
目次
老後の暮らしに関する統計
まず、老後の住まいをマンションと戸建てのどちらにするか判断するために、以下の平均データを紹介します。
- 高齢者の所得・貯蓄額の平均
- 住宅の二次取得者の平均年齢
- 二次取得者が購入する物件の種類
順番に見ていきましょう。
高齢者の所得・貯蓄額の平均
厚生労働省が2022年に公表した『国民生活基礎調査』によると、高齢者世帯の平均所得は年間約318.3万円です。世帯主の年齢で分けたときの世帯の平均年収は以下の通りです。
世帯区分 | 平均年収 |
世帯主が60〜69歳 | 約589.4万円 |
世帯主が70歳以上 | 約391.2万円 |
世帯主が70歳以上の世帯は、60〜69歳の世帯と比較して平均所得額が低いといえます。
また、同調査では60歳以上の世帯主の約4割が前年と比べて『貯蓄が減った』と回答しており、すべての年齢階級で『日常の生活費への支出』が約6割を超えていることがわかりました。
各種世帯の生活意識では、生活が『苦しい』と回答している高齢者が48.3%に達しているため、老後の住まいに向けた資金計画が不可欠だといえます。
住宅の二次取得者の平均年齢
国土交通省が2022年に公表した『住宅市場動向調査』によると、住宅の二次取得者の世帯主の平均年齢は、分譲マンションが58.1歳、注文住宅が59.9歳であることがわかりました。
セカンドライフを楽しむ住まいを購入するなら『定年退職の前に』と考える人が多いといえます。
二次取得者が購入する物件の種類
二次取得者の年代を物件の種類別で見たとき、60代以上の割合は注文住宅が55.9%、分譲マンションが52.6%と、半数以上を占める結果になっています。
一方で分譲戸建ては17.0%、中古戸建ては29.6%と少なく、高齢者が選ぶ住み替え先は『注文住宅』か『分譲マンション』のどちらかになる傾向が高くなります。
いわゆる『アラカン(アラウンド還暦)』の人は、子供が独立して資金的にも余裕がある世代です。セカンドライフを楽しむ住まいは、価格の安い中古物件よりも価格の高い新築物件を選ぶほうが多いことがわかります。
老後の住み替えでマンションに住むメリット
ここでは、老後の住み替えでマンションに住むメリットを3つ紹介します。老後の生活は、マンションと戸建てどちらが過ごしやすいのか判断するために参考にしてください。
- 立地の良い物件が多い
- セキュリティが万全である
- 掃除やメンテナンスの負担が軽減できる
それぞれ見ていきましょう。
立地の良い物件が多い
老後の住み替えでマンションを選ぶメリットの1つ目は、立地の良い物件が多いことです。
都市部や駅前エリアに多く建てられているため、買い物施設や医療機関、公共交通機関が利用しやすくなります。
将来的に免許返納を検討している場合でも、立地が良ければ生活に不便を感じることはほとんどありません。駅近のマンションなら旅行の際にも役立ちます。
また、大手スーパーマーケットや公園が徒歩圏内にあることで、日常の買い物や健康管理がスムーズに行えるといった利点があります。このような立地の良さは、老後の生活をより快適にする要素となります。
セキュリティが万全である
老後の住み替えでマンションを選ぶメリットの2つ目は、セキュリティが万全であることです。
マンションには防犯カメラやオートロック設備があり、宅配ボックスがあれば荷物を直接受け取る必要もありません。大きなマンションであれば管理人が常駐しているケースもあるため、不測の事態にも対応してくれるでしょう。
掃除やメンテナンスの負担が軽減できる
老後の住み替えでマンションを選ぶメリットの3つ目は、掃除やメンテナンスの負担が軽減できることです。
エントランスや廊下など共用部分の掃除・メンテナンスは管理会社によって行われるため、入居者が気にかける必要はありません。
ただし、分譲マンションであれば管理費や修繕積立金を毎月支払うことになります。
老後の住み替えでマンションに住むデメリット
ここでは、老後の住み替えでマンションに住むデメリットを3つ紹介します。デメリットも検討材料とし、自分のライフスタイルや価値観にあった住環境を選択することが重要です。
- 大きな災害時の不安が残る
- ランニングコストの負担が大きい
- 隣人の騒音などが気になるケースがある
それぞれ見ていきましょう。
大きな災害時の不安が残る
老後の住み替えでマンションに住むデメリットの1つ目は、災害時の不安が残ることです。
特に、高層階に住んでいる場合は地震や台風などの自然災害によってエレベーターが利用できず、階段で移動しなければならないケースもあります。老後は足腰の筋力低下が予想されるため、居住階は慎重に選びましょう。
また、地域の災害リスクやマンションの避難体制について把握しておくことが大切です。
ランニングコストの負担が大きい
老後の住み替えでマンションに住むデメリットの2つ目は、ランニングコストの負担が大きいことです。マンションに住む際は、管理費や修繕積立金などの戸建てにはないランニングコストが発生します。
老後の主な収入源は年金や退職金、貯蓄であり生活費を圧迫しやすくなります。また、管理費や修繕積立金はマンションの築年数が古くなるほど上昇する傾向にある点にも注意が必要です。
老後を安心して過ごすためには、購入前にランニングコストの金額を把握し、将来的な支払い能力を含めて検討しましょう。
隣人の騒音などが気になるケースがある
老後の住み替えでマンションに住むデメリットの3つ目は、隣人の騒音などが気になるケースがあることです。
マンションは隣人との距離が近く、壁を挟んで生活することになります。そのため、隣からの騒音や生活習慣の違いがストレスの原因となりかねません。
特に、老後は静かで安心な環境が求められることから、隣人トラブルが発生すると生活の質に影響を及ぼすおそれがあります。
購入前には、管理規約や隣人とのコミュニケーションについても注意深く確認しましょう。
老後の住み替えで戸建てに住むメリット
ここでは、老後の住み替えで戸建てに住むメリットを3つ紹介します。
- 資産として残せる
- 身内だけで静かに広々と暮らせる
- 生活の望みを叶えやすい
順番に見ていきましょう。
資産として残せる
老後の住み替えで戸建てに住むメリットの1つ目は、資産として残せることです。
長期的に戸建てを所有していても土地の資産価値は残るため、担保にしてお金を借りたり、売却して医療費に充てたりできます。
子供がいる場合は、新たに二世帯住宅に建て替えることも可能です。
身内だけで静かに広々と暮らせる
老後の住み替えで戸建てに住むメリットの2つ目は、身内だけで静かに広々と暮らせることです。例えば、庭でガーデニングを楽しんだり、孫や親戚を呼んで一緒にバーベキューを楽しんだりなどが挙げられます。
マンションであればリフォームや楽器演奏、ペット飼育などは管理組合から承認を受ける必要がありますが、戸建ては気にせず自由に暮らせるのがメリットです。
生活の望みを叶えやすい
老後の住み替えで戸建てに住むメリットの3つ目は、生活の望みを叶えやすいことです。
戸建ては建物の構造や敷地の広さなど、自分のライフスタイルに合わせてカスタマイズしやすい特徴があります。
例えば、趣味の庭いじりやガーデニング、趣味室の設置など、理想の生活スタイルや趣味にあった空間を自由に構築することが可能です。
老後の住み替えで戸建てに住むデメリット
老後の住み替えで戸建てに住むデメリットを紹介します。デメリットも検討材料とし、自分のライフスタイルや価値観にあった住環境を選択してください。
- 二階建ての場合に階段の行き来が困難になる
- 定期的なメンテナンスの負担が大きい
- 周辺の利便性が低いケースがある
それぞれ見ていきましょう。
二階建ての場合に階段の行き来が困難になる
老後の住み替えで戸建てに住むデメリットの1つ目は、足腰の衰えによって、二階建ての場合に階段の行き来が困難になることです。
そのため平屋住宅を検討する人が多く、ある程度土地が広くなければ、マンション並みに狭く感じるおそれがあります。
定期的なメンテナンスの負担が大きい
老後の住み替えで戸建てに住むデメリットの2つ目は、定期的なメンテナンスの負担が大きいことです。
戸建ての場合はマンションとは異なり、外壁や庭などの手入れ・修繕作業を自分で行わなければなりません。専門業者に依頼する場合はコストや手配の手間がかかる場合があります。
周辺の利便性が低いケースがある
老後の住み替えで戸建てに住むデメリットの3つ目は、周辺の利便性が低いケースがあることです。
住環境によっては駅や商業施設、医療機関などが遠く、外出や日常生活が不便になることも少なくありません。
老後の住み替えを成功させるポイント
ここでは、老後の住み替えを成功させるポイントを紹介します。
- 住みやすい設備を整える
- 余裕のある資金計画を立てる
- 周辺環境や利便性に注意する
- 売り先行か買い先行かを意識する
それぞれ見ていきましょう。
住みやすい設備を整える
老後の住み替えを成功させるポイント1つ目は、住みやすい設備を整えることです。
バリアフリーな設計やエレベーターの設置、庭の手入れがしやすい配置など、将来の健康状態やライフスタイルを考慮した設備を検討しましょう。
また、病院などにアクセスしやすい立地かどうかも確認が必要です。
余裕のある資金計画を立てる
老後の住み替えを成功させるポイント2つ目は、予期せぬ医療費や生活費の変動にも対応できるよう、余裕のある資金計画を立てることです。
できるだけ早い段階でローンを組んだり、売却益を住み替え先に充てたりして、極力短期間で完済しましょう。
周辺環境や利便性に注意する
老後の住み替えを成功させるポイント3つ目は、周辺環境や利便性に注意することです。
近くに医療機関や商業施設、公共交通機関などがあるかどうかを確認することで、外部へのアクセスや生活の便利さが向上し、より充実した老後を迎えられます。
売り先行か買い先行かを意識する
老後の住み替えを成功させるポイント4つ目は、売り先行か買い先行かを意識することです。
売り先行とは、現在の住居を売却したあとに住み替え先を購入することを指します。買い先行とは、住み替え先を購入してから現在の住居を売却することです。
市場の状況や物件の需要によっても最適なタイミングが異なるため、これらを意識して不動産会社とともに計画を立てましょう。
老後にマンション・戸建てが向いている人の特徴
ここでは、老後にマンション・戸建てが向いている人の特徴を紹介します。
- マンションが向いている人の特徴
- 戸建てが向いている人の特徴
それぞれ見ていきましょう。
マンションが向いている人の特徴
マンションが向いている人の特徴は以下の通りです。
- 利便性の高いところに住みたい人
- 家事負担を軽減したい人
- セキュリティ面で安心したい人
- 維持やメンテナンスが面倒な人
マンションは都市部に位置することが多く、アクセスが便利なため、買い物施設や医療施設に困りません。管理やセキュリティ対策をする必要がなく、手軽で安心な住環境が整っている点も魅力です。
戸建てが向いている人の特徴
戸建てが向いている人の特徴は以下のとおりです。
- 趣味や暮らしを謳歌したい人
- 生活環境を変えたくない人
- 住居費のランニングコストを抑えたい人
- 利便性よりものどかで静かな場所で暮らしたい人
- 自分好みにリフォームしたい人
戸建てはプライバシーを重視でき、静かでゆとりある生活を望む人に向いています。
広いスペースで趣味やガーデニングを楽しみたい人にもおすすめです。マンションのように管理費や修繕積立金、駐車場代などがかからない点もメリットです。
老後の住み替えを考えるのに適したタイミング
ここでは、老後の住み替えを考えるのに適したタイミングを紹介します。
- 大規模修繕が必要になったタイミング
- 子供が独立したタイミング
- 定年退職が近づいたタイミング
それぞれ見ていきましょう。
大規模修繕が必要になったタイミング
老後の住み替えを考えるのに適したタイミングの1つは、大規模修繕が必要になったタイミングです。
老朽化や設備の劣化が進むと、修繕に大きな費用と手間がかかります。このタイミングで、新しい住環境への移行を視野に入れ、将来の快適な生活に備えることが賢明といえます。
子供が独立したタイミング
子供が独立すると、家族構成や生活スタイルが変化します。これを機に住まいを見直し、老後を迎える新しい環境を選ぶことが可能です。
子供の進学や就職が終わり、家の広さや配置、利便性など、新たなライフスタイルにあった住まいを検討できるでしょう。
定年退職が近づいたタイミング
定年退職が近づいてくると、住まいや生活スタイルに対する考え方が変わることがあります。通勤の必要がなくなり、趣味に没頭できる場所での生活を送りたい人も少なくありません。
また、年金や貯蓄の見直しも必要になります。この時期に老後の住み替えを計画することで、経済的な側面や生活スタイルの変化に対応しやすくなります。
老後にマンションか戸建てかはライフスタイルを考慮しよう
現在お住まいのマイホームを選んだときと同じように、老後の住まいも、自らが思い描くセカンドライフに適した住まいを選ぶことが大切です。
そのためには、どのような生活を送りたいのかを具体的にまとめ、資金計画を含めて準備し、物件選びや施工会社選びなど実行に移していきましょう。
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