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2024.08.27 お役立ち情報

土地権利書とは?登記簿との違いや紛失時の対応も解説


土地権利書とは?登記簿との違いや紛失時の対応も解説

この記事では、土地権利書の概要について解説します。

土地の名義を変更する際に必要となる書類の1つが、権利書です。不動産の所有者であることを証明する書類であり、万が一、紛失してしまった場合には何らかの対処が必要です。

この記事では、土地権利書の概要や登記簿との違いを解説します。紛失時の対応もお伝えするので、土地権利書を所有している人や土地を売却する予定がある人は、ぜひ参考にしてください。

【この記事でわかること】

● 不動産登記の概要

● 土地権利書の概要

● 土地権利書を紛失した場合はどうなるのか

● 土地売却で権利書以外に必要な手続き

● 土地権利書を盗まれたら悪用されるおそれはあるのか

そもそも不動産登記とは?

不動産登記とは、土地や建物の所在・面積や所有者の住所・氏名などを登記簿に記載して、一般公開することです。不動産取引には高額な資金が動くため、不動産の権利関係を誰もが確認できるように登録することで、取引の安全を図っています。

不動産登記は法務局が管理しています。相続や売買による所有者変更があった場合には法務局への届け出が必要となり、登記のケースによっては土地の権利書が必要です。

※参考:不動産登記のABC丨法務省

土地権利書とは?

土地権利書は土地の所有者を証明する書類であり、正式名称を『登記済権利証』といいます。不動産を新しく取得したときに、1度だけ法務局から発行されます。

ここでは、土地権利書について以下2つの観点から解説します。

  • 登記簿との違い
  • 土地権利書が必要なケース

1つずつ見ていきましょう。

登記簿との違い

類似した書類に『登記簿(登記簿謄本)』がありますが、土地権利書とは異なる書類である点に注意してください。違いとして、以下の点が挙げられます。

権利書 登記簿
管理者・保管方法 所有者が手元で紙の権利書を管理・保管 法務局が不動産の情報や権利関係をデータとして管理・保管
目的 所有者であることを証明するために使用 不動産の情報を記録し、必要に応じてその内容を開示する

権利書は所有者が手元で紙の権利書を管理・保管しているので、所有者の許可がなければ閲覧できません。 また、不動産の経歴も記載されていません。

登記簿は、法務局が不動産の情報や権利関係をデータとして管理・保管しているため、手数料を払えば誰でも閲覧が可能であり、申請すれば書面で登記簿謄本の交付も受けられます。

書類の目的も異なり、権利書は自分が所有者であることを示すために使用しますが、登記簿は権利関係を所有者以外も確認するために閲覧する書類です。

土地権利書が必要なケース

土地の権利書は、以下のようなケースで必要となります。

  • 不動産を売却・譲渡するとき
  • 抵当権を設定するとき
  • 相続で必要な場合

所有する土地を売却・譲渡する際には、土地権利書を見せることで自分が所有者だと証明できます。住宅ローンの契約時に担保として土地や建物に抵当権を設定する場合にも、土地の権利書が必要です。

相続で登記する際、基本的に権利書は不要ですが、所有者が亡くなった後も権利書が有効なケースや、亡くなってしばらくしてから(住民票の保存期限が切れてから)移転登記を行うケースは、権利書が必要です。

土地権利書を紛失した場合はどうなるのか

土地の権利書は、法務局が所有者に対して1度だけ発行します。そのため、紛失した場合の再発行はできません。ここでは、権利書を紛失したときに利用する以下3つの制度を解説します。

  • 資格者代理人による本人確認証明情報の提供制度
  • 法務局による事前通知制度
  • 公証人による本人確認制度

1つずつ見ていきましょう。

資格者代理人による本人確認証明情報の提供制度

資格者代理人による本人確認情報の提供制度とは、登記識別情報などを登記所に提供できない場合、司法書士などの資格者代理人に本人確認情報を作成してもらう制度です。

運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証を元に本人であることを示し、所有権移転など登記の目的についても書面に記載されます。登記官が本人確認情報を適正であると認めた場合には、事前通知の手続きを省略できます。

この制度を利用するときのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット 時間と手間が省け、前住所通知も省略できる
デメリット 司法書士などへの手数料がかかる

※参考:資格者代理人による本人確認情報丨沖野司法書士・行政書士事務所

司法書士などの専門家に作成してもらうので、時間と手間が省ける点がメリットです。

権利証をなくした場合、所有権に関する登記申請で登記義務者の住所に変更登記がされているときは原則、前住所通知が必要です。

一方で、申請人が登記義務者であることが確実だと認められた場合は免除されます。

資格者代理人により本人確認情報をするデメリットは、司法書士などへの手数料がかかることです。司法書士により料金は異なりますが、相場の手数料として5〜10万円がかかると見込まれます。

法務局による事前通知制度

権利書を紛失した場合の代替措置として、法務局による事前通知制度も用意されています。登記所から登記名義人あてに事前通知を行うことで、本人だと確認する制度です。

具体的には、登記名義人の住所地に宛てて登記に関する内容を記載した書類を『本人限定受取郵便』で送付し、返送すると土地や建物の名義人だと証明できます。

この制度を利用した場合のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット ● 費用がかからない
デメリット ● 申請から登記手続き完了までに一定の時間を要する

● 2週間以内に返送しないと申請が却下されてしまう

事前通知制度は司法書士などの専門家に依頼しないため、費用がかかりません。ただし、郵送でやり取りするので、登記手続きが完了するまでに一定の時間を要する点がデメリットです。

2週間以内に返送する必要があり、期限内に完了しないと申請が却下されてしまう点に注意しましょう。

公証人による本人確認制度

公証人による本人確認制度は、公証人が売主の本人確認を行う制度です。登記名義人が公証人の前で登記の委任状などに署名捺印した後、公証人が登記名義人本人であることを確認し、委任状などに認証文を付けて認証します。

この制度のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリット ● 費用が安く済む
デメリット ● 認証までに時間がかかる

● 必ず登記義務者本人(売買の場合は売主)が公証役場に行って手続きをしなければならない

公証人へ支払う費用は司法書士の手数料より低いので、手続きにかかる費用を抑えられる点がメリットです。一般的には数千円程度で済みます。

デメリットは認証までに時間がかかることと、必ず登記義務者本人(売買の場合は売主)が公証役場に行って手続きをする必要がある点です。公証役場での手続きも自分でやらなければいけないので、手間がかかります。

土地売却で権利書以外に必要な手続き

土地を売却する際は、以下3つの登記手続きが必要です。

  • 住所変更・氏名変更登記
  • 所有権移転登記
  • 抵当権抹消登記

それぞれの登記手続きについて解説します。

住所変更・氏名変更登記

不動産売却時には、登記簿謄本に記載された氏名・住所と現在の氏名・住所が一致している必要があります。登記簿謄本に記された氏名・住所が違う場合は、売却前に変更登記が必要です。

2023年以降は変更登記が義務化されており、手続きを怠った場合は罰則が課せられるため注意しましょう。住所変更や氏名変更登記に関して必要な書類は以下の通りです。

変更登記の種類 必要書類 必要な記載内容
住所変更登記 住民票または戸籍附票 登記上の住所から現住所までのつながりを証する書面
氏名変更登記 戸籍謄本 婚姻・養子縁組・離婚などで氏名が変わったことが記載されているもの
住民票または戸籍附票 住民票は本籍地記載のもの

※参考:Taro-13 住所と氏名の変更 記載例丨法務局 (p1・3)

変更登記にかかる登録免許税は不動産1個につき1,000円であり、戸建てで土地と建物が1つずつの場合は2,000円になります。

日本司法書士会連合会のアンケート調査によると、所有権登記名義人の住所変更登記の場合、司法書士に依頼する場合の報酬目安は関東地区で12,000円程度です。

※参考:報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)丨日本司法書士会連合会 (p11)

所有権移転登記

土地を売却した後は買主に所有権を移すため、所有権移転登記の手続きを行います。土地の所有権移転登記で、売主・買主がそれぞれ必要な書類はこちらです。

必要な書類
売主 ● 不動産登記申請書

● 委任状(専門家に依頼する場合)

● 登記原因証明情報(売買契約書など)

● 登記済権利証または登記識別情報

● 印鑑証明書(発行から3か月)

● 固定資産評価証明書

● 身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポート)

● 実印

買主 ● 不動産登記申請書

● 委任状(専門家に依頼する場合)

● 登記原因証明情報(売買契約書など)

● 住民票(有効期限なし、戸籍の附票でも可)

● 身分証明書(運転免許証、健康保険証、パスポート)

● 認印

所有権移転登記をする際には登録免許税を納めます。土地売買の場合の税率は以下の通りです。

種目 課税標準 本則の税率 軽減税率
土地 固定資産課税台帳に登録された価格 2.0% 令和8年3月31日までの間に登記を受ける場合1.5%

例えば、固定資産価格が2,000万円である土地を売買で令和8年3月31日までに所有権移転登記を行う場合は、”2,000万円×1.5%”で30万円の登録免許税がかかります。

なお、不動産売買における所有権移転費用を負担するのは、売主・買主のどちらでもよいとされています。とはいえ、所有権移転登記で利益を受ける立場である買主が負担するケースが一般的です。

※参考:不動産売買における所有権移転登記費用の負担者丨不動産流通推進センタ

抵当権抹消登記

抵当権が設定されている土地を売却する場合、金融機関の承諾を得てから売却します。抵当権の抹消に必要な書類は以下の通りです。

必要書類 書類の内容
抵当権設定登記済証もしくは登記識別情報通知書 抵当権設定当時に銀行が法務局から渡された書類
抵当権解除証書 ローンが完済されていることを証する書類
代表者事項証明書 抵当権者の代表者を証明する書類(3ヶ月以内に作成されたもの)
履歴事項証明書 登記記録上の情報と現在の情報が異なる場合に必要
金融機関発行の委任状 所有者に抹消登記を委任するための書類

抵当権抹消登記費用は不動産1個につき1,000円です。司法書士に依頼する場合は、別途手数料が15,000円程度かかります。

※参考:報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)丨日本司法書士会連合会(p10)

土地権利書を盗まれたら悪用されるおそれはあるのか

結論、土地権利書を盗難されたからといって簡単に土地が人の手に渡るわけではありません。

とはいえ、何らかの被害を受けるおそれはあるので、盗難が発覚したらすぐに手を打つことが必要です。土地権利書を盗まれた場合の対処法として、以下2点が挙げられます。

  • 不正登記防止の申出
  • 登記識別情報の失効申出

ここでは、それぞれの申出方法を解説します。

不正登記防止の申出

不正登記防止申出制度とは、不正な登記がされる差し迫った危険があるとき、申出から3ヶ月以内に不正な登記がされることを防止するための制度です。

申出から3ヶ月以内に登記が申請された場合、申出をした人に登記申請されたことが通知されるため、身に覚えのない登記を防げます。

不正登記防止申出の手続きは、原則、申出人(登記名義人など)本人が登記所に出頭して行います。ただし、何らかの事情で本人が行けない場合は代理人への委任が可能です。

※参考:土地・建物の登記でお困りの皆様へ丨法務局(p2)

登記識別情報の失効申出

登記識別情報を紛失、あるいは誰かに盗み見された場合は、登記識別情報の失効申出が有効な対処法となります。

登記識別情報とは、登記が完了した際に登記所から買主などの登記名義人に通知される、12桁の英数字の組合せからなる情報です。登記名義人が登記義務者(売主)として所有権移転登記を申請する際に、登記名義人本人からの申請であることを確認する書類として利用されます。

登記識別情報を紛失した場合も簡単に悪用される可能性が低く、登記識別情報を紛失しただけでは登記上の権利に何の影響も与えません。

ただし、第三者が不正な手段で登記しようとするケースも考えられるため、トラブルに巻き込まれたくないならば事前に対策を打つことが大切です。

登記識別情報の失効申出制度を利用すると紛失した登記識別情報を失効させられるため、悪用を防げます。

土地権利書に関するよくある質問

最後に、土地権利書に関するよくある質問に回答します。

  • 土地の権利書を再発行するときの金額はいくら?
  • 土地の権利書を紛失したらどこに相談すればよい?
  • 手元にある登記済権利証は登記識別情報に交換できる?

上記3つの質問を順番に見ていきましょう。

土地の権利書を再発行するときの金額はいくら?

先述の通り、権利証を紛失した、あるいは盗難に遭ってしまった場合でも再発行はできません。​不正登記防止申出や、登記識別情報の失効申出などが必要です。

土地の権利書を紛失したらどこに相談すればよい?

まずは、公証役場の相談窓口に相談しましょう。売却などのケースごとに対処法や必要な手続きを無料でアドバイスしてくれます。

盗難に遭った場合には、警察に被害届を出したうえで、法務局には不正登記防止申出を提出しましょう。

手元にある登記済権利証は登記識別情報に交換できる?

土地の権利書は再発行できないため、登記済権利証から登記識別情報への変更もできません。

2004年の法改正で登記済権利証は発行されなくなりましたが、権利書自体の効力は引き続き残っているので、そのまま所有しましょう。

土地権利書は紛失しないように適切な管理が大切

この記事では、土地権利書について解説しました。

土地権利書は、土地の所有者を証明する重要な書類です。紛失してしまうと再発行できないため、日頃から紛失しないよう適切な管理に務めましょう。

万が一、紛失してしまった場合は早めに不正登記防止申出や、登記識別情報の失効申出などをすることでトラブル防止に繋がります。

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