2024.09.27 お役立ち情報
年収300万の住宅ローン借入額の目安は?返済額やポイントを解説
この記事では、年収300万円で借りられる住宅ローンはいくらまでか解説します。
住宅取得費用は高額であるため、多くの人が金融機関から融資を受けて住宅を購入します。
年収300万円は平均年収よりもやや低い金額であるため、融資を受けることに対して不安に感じている人も少なくありません。
この記事では、年収300万円の住宅ローン借入額の目安について解説していきます。マイホーム購入を検討中の人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
● 年収300万円で住宅ローンはいくらまで借りられるのか
● 年収300万円の人が住宅ローンを組むときの注意点
● 年収300万円の人が住宅ローン審査に通りやすくする方法
目次
そもそも年収300万円で住宅ローンを組むことは可能なのか
年収300万円でも、住宅ローンを組める可能性はあります。
住宅金融支援機構によれば、フラット35を利用した世帯の2023年度の平均年収は661万円で、400万円以下は全体の19.8%存在します。
国土交通省がまとめた『民間住宅ローンの実態に関する調査(令和5年度)』では、審査項目で最も重要視されるのは「完済時年齢」です。次は「健康状態」「借入時年齢」と続いており、「年収」は4番目となっています。
【金融機関が融資を行う際に考慮する項目】
順位 | 項目 | 割合 |
1位 | 完済時年齢 | 98.5% |
2位 | 健康状態 | 96.6% |
3位 | 借入時年齢 | 96.0% |
4位 | 年収 | 94.0% |
5位 | 勤続年数 | 93.6% |
※参考1:令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書|国土交通省
したがって、年収300万円でも借入する人の状況によっては、住宅ローンを組むことは可能です。
※参考2:2023年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
年収300万円で住宅ローンはいくらまで借りられるのか
ここでは、年収300万円の場合に住宅ローンをいくらまで借りられるのか、計算方法は以下の2つがあります。
- 年収倍率から計算する
- 返済負担率から考える
順番に見ていきましょう。
年収倍率から計算する
年収倍率とは、購入者の年収と物件価格の比率をあらわした数値のことです。 主な計算式は以下のとおりです。
年収倍率=物件購入価格 ÷ 購入者の年収 |
例えば、年収500万円の人が3,000万円の物件を購入する場合の年収倍率は「3,000万円÷500万円」で、6倍となります。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査によれば、2023年度における年収倍率の平均値は5〜7倍です。
物件の種類 | 年収倍率の平均値 |
土地付き注文住宅 | 7.6倍 |
マンション | 7.2倍 |
注文住宅 | 7.0倍 |
建売住宅 | 6.6倍 |
中古マンション | 5.6倍 |
中古戸建 | 5.3倍 |
※参考:2023年度フラット35利用者調査|住宅金融支援機構
マイホームを購入する際の予算を年収倍率で考える際は、5〜7倍程度が住宅ローン審査に通る目安の1つであるといえます。
例えば年収300万円の人の場合、年収倍率が5、6、7倍であるときは以下が借入額の目安となります。
年収倍率 | 借入額の目安 |
5倍 | 1,500万円 |
6倍 | 1,800万円 |
7倍 | 2,100万円 |
借入額は、1,500〜2,100万円程度になるように考えてみてください。
返済負担率から考える
返済負担率(返済比率)とは、年収に占める年間返済額の割合のことです。返済負担率の計算式は以下のとおりです。
年間のローン返済額÷年収×100=返済負担率(%) |
返済負担率は返済負担率が小さいほどゆとりのある返済が可能です。理想的な返済負担率は20〜25%といわれています。返済負担率が一定の基準を超えると滞納リスクが高まるため、審査が通らなかったり、借入額を減らされたりする可能性があります。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査によれば、2023年度における返済負担率の平均値は23.4%でした。年収300万円の人が以下の条件で1,000万円、2,000万円、3,000万円を借りた場合、返済負担率は以下のとおりです。
【借入条件】
● 年収:300万円 ● 借入期間:35年 ● 金利:1.5%(全期間固定金利) ● 返済方法:元利均等返済 |
借入額 | 返済負担率 |
1,500万円 | 約18.4% |
2,000万円 | 約24.5% |
3,000万円 | 約36.7% |
現時点での年収が300万円の人は借入額が2,000万円であれば、返済負担率が約24.5%となり、理想的な目安である20〜25%以下の範囲内に収まります。
年収300万円の人の住宅ローン返済額をシミュレーション
ここでは、年収300万円の人の住宅ローン返済額を、以下の借入れ条件でシミュレーションします。
【借入条件】
● 年収:300万円 ● 借入期間:35年 ● 金利:1.5%(固定金利) ● 返済方法:元利均等返済 ● ボーナス払い:なし ● その他:融資手数料・保証料なしで設定 |
以下の3つの借入額についてシミュレーションします。
- 借入額1,500万円の場合
- 借入額2,000万円の場合
- 借入額2,500万円の場合
毎月の返済額や返済負担率を見ていきましょう。
借入額1,500万円の場合
年収300万円の人が、上記の条件で1,500万円を借入した場合の返済シミュレーションは以下のとおりです。
毎月の返済額 | 4万5,927円 |
年間の返済額 | 55万1,124円 |
返済負担率 | 約18.4% |
利息 | 428万9,426円 |
総支払額 | 1,928万9,426円 |
※参考1:返済額の試算|住宅保証機構株式会社
1,500万円を35年で借入れした場合、毎月の返済額は45,927円で、返済負担率は約18.4%です。
返済負担率が20%以下のため、ゆとりある返済ができます。
借入額2,000万円の場合
年収300万円の人が、上記の条件で2,000万を借入した場合の返済シミュレーションは以下のとおりです。
毎月の返済額 | 6万1,236円 |
年間の返済額 | 73万4832円 |
返済負担率 | 約24.5% |
利息 | 571万9,333円 |
総支払額 | 2,571万9,333円 |
※参考1:返済額の試算|住宅保証機構株式会社
2,000万円を35年で借入した場合、毎月の返済額は6万1,236円で、返済負担率は約24.5%です。理想的な返済負担率は25%以内であるため、無理のない返済ができるといえます。
借入額2,500万円の場合
年収300万円の人が、上記の条件で2,500万を借入した場合の返済シミュレーションは以下のとおりです。
毎月の返済額 | 7万6,546円 |
年間の返済額 | 91万8,552円 |
返済負担率 | 約30.6% |
利息 | 714万9,099円 |
総支払額 | 3,214万9,099円 |
※参考1:返済額の試算|住宅保証機構株式会社
2,500万円を35年で借入した場合、毎月の返済額は7万6,546円で、返済負担率は約30.6%です。理想的な返済負担率の目安である25%を超えているため、子供の成長などで教育費がかかるようになった場合、返済が厳しくなることが考えられます。
年収300万円の人が住宅ローンを組むときの注意点
年収300万円の人が住宅ローンを組むときには、以下の点に注意しましょう。
- 借入可能額=無理なく返済できる金額ではない
- 他の借金があると借入可能額に影響する
- 住宅ローン控除による還付を確認する
- 維持費を考慮した借入額を設定する
- 諸費用を自己資金で用意する必要がある
それぞれの注意点について解説します。
借入可能額=無理なく返済できる金額ではない
多くの金融機関では、住宅ローンの審査における融資基準を設けています。住宅購入価格の目安は、年収の5〜7倍とされているのが一般的です。そのため、年収300万円の場合は、2,100万円までが借入可能額であると考えられます。
ただし、「借入可能額=無理なく返済できる金額」ではありません。上限まで借入してしまうと、予期せぬ事態が発生して年収が下がってしまったときに返済が困難になることも考えられます。
金融機関は、返済負担率30〜35%を上限としていることが一般的ですが、年収が下がるケースも想定して借入しましょう。
他の借金があると借入可能額に影響する
住宅ローンの借入を申し込む際、他の借金があると借入可能額に影響するため注意しましょう。例えば、以下は借入可能額に影響する可能性があります。
- 自動車ローン
- 教育ローン
- クレジットカードによるキャッシング
- 商品の分割払いやリボ払いによる購入
返済負担率は、年収における「総借金額」の割合を示すものです。
金融機関に借入を申し込むときは、すべての借入を申告します。毎月支払っている借金の返済額が多いと滞納リスクが考えられるため、審査が不利になる可能性があります。
住宅ローン控除による還付を確認する
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得した場合、毎年の住宅ローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できる制度です。
2,000万円借りて月6万円返済する場合、初年度の返済総額は72万円です。ローン残高1,928万円の0.7%は、13万4,960円となります。
年収300万円なら所得税を20万2,500円納めているため、住宅ローン控除の利用で、源泉徴収された20万2,500円のうち13万4,960円が還付金として手元に戻ります。
控除の上限は40万円などいくつか条件はあるものの、源泉徴収されている所得税額より控除額のほうが多い場合、住民税の還付も受けられます。
ただし、住宅ローンの返済を進めてローンの元金が減ると、控除額も毎年下がるので注意しましょう。フラット35なら還付金をもらえる期間より返済期間のほうが長いため、住宅ローン控除による還付金を返済計画に組み込むのはおすすめできません。
なお、2024年度(令和6年度)税制改正により、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、省エネ基準を満たしている住宅のみが住宅ローン控除の適用を受けられます。
維持費を考慮した借入額を設定する
住宅ローンを借入れする際は、毎月の返済だけでなく、税金や修繕費用などを含む住宅の維持費用についても考慮することが必要です。
住宅にかかる主な維持費用には以下のものが挙げられます。
- 固定資産税
- 火災保険料
- 地震保険料
- 修繕費
固定資産税は、土地・建物を所有している場合に課せられる税金で、毎年納付します。エリアによっては都市計画税もプラスされます。
住宅が地震や火災などの災害に遭ったときの保証として、火災保険や地震保険に加入しておくことも欠かせません。火災保険料は補償内容により違いがありますが、木造戸建の場合、1年間で3〜5万円程度です。
住宅が古くなってくると修繕費用も発生し、戸建の修繕費は新築から30年間で400〜800万円ほどかかるといわれています。
特に、修繕費用は高額になる可能性が高いため、将来的なリフォームも考慮して借入しましょう。維持費を考慮した上で借入額を設定することが必要です。
諸費用を自己資金で用意する必要がある
住宅を購入する際には、土地や建物の購入代金以外にさまざまな諸費用がかかり、自己資金で用意するのが一般的です。
主な諸費用は以下のとおりです。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 不動産仲介手数料
- 司法書士手数料
- 融資関係手数料
- 水道加入金
- 引越費用
- 火災保険料
- 修繕積立基金(マンションの場合)
諸費用の目安は物件価格の3〜10%といわれています。合計で数十万〜数百万円かかることも珍しくありません。
住宅を購入するときは、諸費用がかかる点についても注意しておきましょう。
年収300万円の人が住宅ローン審査に通りやすくする4つの方法
年収300万円の人が住宅ローン審査に通りやすくする方法は以下のとおりです。
- 配偶者との収入合算・ペアローンを検討する
- フラット35を利用する
- 頭金を増やして借入額を減らす
- 複数の金融機関に相談する
それぞれの方法について解説します。
配偶者との収入合算・ペアローンを検討する
共働きの場合は、配偶者との収入合算・ペアローンを検討すると、住宅ローン審査に通りやすくなります。なぜなら、世帯年収が増えると借入額の上限が上がるからです。
収入合算とは、夫婦や親子などで収入を合算して住宅ローンを組む方法です。収入合算には以下の2タイプがあります。
連帯債務型 | 夫婦もしくは親子のどちらかが主たる債務者となり、もう一方がその連帯債務者となる方法 |
連帯保証型 | 夫婦もしくは親子のどちらかが債務者となり、もう一方が連帯保証人となる方法 |
ペアローンは、それぞれが主たる債務者として住宅ローンを組み、互いに相手の連帯保証人となる方法です。
夫婦で年収の差がある家庭の場合は収入合算、夫婦双方が一定以上の年収で働く家庭の場合はペアローンが適しています。
フラット35を利用する
年収300万円の人が住宅ローンを利用する場合、住宅金融支援機構が運営しているフラット35を利用するのも効果的な方法です。フラット35は最低年収基準を設定していないため、年収が低い人でも借りられる可能性があります。
審査基準としているのは返済負担率です。年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下が申し込みの基準となります。
全期間固定金利型ですが、金利上昇リスクを気にせず安定した資金計画を立てられるため、長期間でも安心して返済を続けられます。
頭金を増やして借入額を減らす
借入額が多いと返済負担率が高くなるため、なるべく頭金を増やして借入額を減らすことも検討しましょう。頭金を多めに用意して借入額を抑えれば、年収300万円でも住宅ローンの審査に通りやすくなります。
住宅ローンの頭金の目安は、住宅購入価格の1割程度が一般的です。例えば、3,000万円の住宅を購入する際、頭金を10%にする場合は、300万円程度を用意することになります。
ただし、預金をすべて頭金で使ってしまうと、急な出費が発生したときに対応できないことも考えられます。ある程度の金額は現金で残しておきましょう。
複数の金融機関に相談する
金融機関により住宅ローンの金利や審査通過のハードルの高さ、付帯サービス・特典などが異なります。より良い条件で住宅ローンを借入するためにも、複数の金融機関に相談しましょう。
ローン審査に通るかどうかを確認するために、複数の金融機関に対して事前審査(仮審査)の申し込むのも良い方法です。事前審査に通っても、必ずしも本審査に進むわけではないので、気楽に申し込めます。
複数の金融機関で申し込む場合は、必要書類もその分多くなり手間がかかります。ある程度候補を絞ってから申し込むことをおすすめします。
年収300万円の住宅ローンに関するよくある質問
ここでは、年収300万円の人が住宅ローンを借りる場合によくある質問について回答します。
- 年収300万円でも頭金なしで住宅ローンを組むことは可能?
- 年収300万円の住宅ローンの返済額は月々いくらに抑えるべき?
- 年収300万円の40代も住宅ローンを組める?
疑問の解消にお役立てください。
年収300万円でも頭金なしで住宅ローンを組むことは可能?
年収300万円でも、頭金なしで住宅ローンは借りられます。住宅ローンの目安は年収の約5〜7倍が目安であるため、借入額の目安は1,500〜2,100万円です。
ただし、頭金を用意したほうが借入額を抑えられるため、審査に通りやすい傾向があります。
年収300万円の住宅ローンの返済額は月々いくらに抑えるべき?
年収300万円でも毎月無理なく返せる金額は、4〜5万円程度といわれています。
年収300万円の人の手取り額は多く見積もっても約240万円で、月額にすると20万円程度です。毎月4〜5万円の返済ならば、収入全体に占める割合は20〜25%であるため、無理なく返済を続けられるでしょう。
年収300万円の40代も住宅ローンを組める?
年収300万円の40代でも住宅ローンを組める可能性があります。
住宅金融支援機構が調査した、2024年度の住宅ローン利用者のアンケート結果では、40歳代が23.8%を占めていました。50歳代は10%、60歳代は3.3%です。
全体の平均年齢は「38.6歳」で、年々上昇していることからもわかるとおり、年収300万円の40代でも住宅ローンは組めるでしょう。
※参考:住宅ローン利用者の実態調査 【住宅ローン利用者調査(2024年4月調査)】|住宅金融支援機構
年収300万円の住宅ローンは返済負担を考慮して借入額を決めよう
年収300万円の場合は、毎月の手取りが約20万円です。生活費などを含めると住宅ローンの返済に回せる金額は4〜5万円程度が目安であり、それ以上の金額になると生活を圧迫するおそれがあります。
そのため、住宅ローンを利用する際は無理のない返済を続けるために、返済負担を考慮しながら借入額を決めましょう。
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