2023.12.01 お役立ち情報
住宅ローンの分割融資とつなぎ融資の違いは?どっちがお得かも比較
この記事では、住宅ローンの分割融資とつなぎ融資の違いを解説します。
マイホーム購入の際には、多くの人が住宅ローンを利用します。融資実行は建物の引渡しのタイミングで実施しますが、注文住宅を購入するケースでは引渡し時以外のタイミングにも支払いが必要であるため、別途資金調達が必要です。
この記事では、分割融資とつなぎ融資の各契約内容やメリット・デメリットを解説します。どちらがお得かも解説するので、マイホーム購入を検討中の人は、ぜひ最後までご覧ください。
【この記事でわかること】
● 注文住宅で支払いが必要なタイミング
● 住宅ローンの分割融資とつなぎ融資の違い
● 分割融資・つなぎ融資の契約内容
● 分割融資・つなぎ融資で資金調達するメリット・デメリット
目次
そもそも注文住宅で支払いが必要なタイミングは?
注文住宅を建てる際に支払いが生じるシーンを確認しましょう。
- 土地を購入するとき
- 着手金を支払うとき
- 中間金を支払うとき
- 引渡しのとき
上記4点を順番に解説します。
土地を購入するとき
土地探しから家づくりを始める人は建築する土地を先に購入する必要があります。土地代は地域や広さによって異なりますが、数百〜数千万円程度必要です。
住宅購入時に土地の料金を払う訳ではないので、あらかじめ確認しておきましょう。
着手金を支払うとき
建築工事が始まる前に、施工業者と工事請負契約を結びます。その際に施工業者に対して支払うのが”着手金”です。着手金は建築費用の3分の1程度です。
また、工事請負契約を締結するタイミングで契約金を支払う必要があるため、建築費用の5〜10%を準備しておきましょう。
中間金を支払うとき
工事の途中で施工業者へ中間金を支払います。支払うタイミングは、一般的に柱や梁などの建物の骨組みを完成させた時点です。
建築費用の3分の1程度を支払いますが、建築会社によっては中間金がないケースがあります。
引渡しのとき
建物が完成して引渡しされるときに融資が実行され、このタイミングで建築費用の残金を支払います。
このように、注文住宅では”土地の購入費用”・”着手金”・”中間金(施工業者による)”など、住宅ローン実行前にまとまった費用が必要になるタイミングが2〜3回あることを覚えておきましょう。
このほかにも、土地を購入する際には不動産会社への手数料や登記費用などの諸費用が必要となり、引渡し時には登記費用や住宅ローンの融資手数料などが必要です。注文住宅を購入する際には、さまざまな費用を用意しておく必要があります。
住宅ローンの分割融資とつなぎ融資の違い
分割融資は、1本の住宅ローン契約で複数回に分けて融資を受けられるものです。
一方でつなぎ融資は、短期融資のための契約を住宅ローンとは別にしなければならない点に違いがあります。また、つなぎ融資は無担保ローンであるため、抵当権の設定がない点も分割融資との違いです。
住宅ローンの分割融資の契約内容
ここでは、住宅ローンの分割融資における契約内容を解説します。
- 分割実行の回数
- 金利
- 返済タイミング
- 契約締結の違い
上記4点をそれぞれ見ていきましょう。
分割実行の回数
分割融資を実行する回数やタイミングは金融機関によって異なり、”土地の購入時”と”建物の引渡し時”の2回とする金融機関が多くあります。2回までならどのタイミングでも利用できるというケースもあれば、3〜4回まで実行可能でいつでも利用できるという金融機関もあります。
自己資金額にもよりますが、施工業者への支払いタイミングに合わせて融資を実行してくれる金融機関を選ぶと安心です。
金利
分割融資では、融資実行時の店頭金利を適用する金融機関が多くあるため、実行されるたびに金利が変わるケースがあります。
例えば、土地の購入時には店頭金利が1%、建物の引渡し時に金利が上がって1.5%になった場合を解説します。この場合の適用金利は、土地の融資実行後から建物の引渡し時までの返済に対しては金利1%、建物の引渡し後は残金に対しては1.5%です。
ただし、金利の適用は金融機関によって異なり、一括して同じ金利を設定しているケースもあります。融資実行のタイミングに合わせて変動金利と固定金利を選べる場合があり、どのような金利プランを利用するかで返済額が大きく変わるため、慎重に判断しなければなりません。
返済タイミング
返済が始まるタイミングは、金融機関によって異なります。
返済スタートのタイミングは、土地購入費の融資が実行された翌月である場合が一般的です。しかし、金融機関によっては、建物の引渡し時までは利息の返済のみで、引渡し後に返済が始まるケースがあります。
契約締結の違い
住宅ローンを実行するたびに、金融機関と”金銭消費貸借契約”を結ぶ必要があるケースに注意が必要です。
分割融資において住宅ローンの契約自体は1本ですが、金融機関によっては、その都度契約を結び直すケースや2回目以降は簡単な手続きのみで実行されるケースがあります。
なお、契約の際は、融資手数料や契約書に添付する印紙代などの諸費用が必要です。契約回数が増えると諸費用も増えるため注意してください。
住宅ローンのつなぎ融資の契約内容
住宅ローンのつなぎ融資の契約内容を解説します。
- 分割実行の回数
- 金利
- 返済タイミング
- 契約締結の違い
上記4点から、分割融資との違いを把握しましょう。
分割実行の回数
つなぎ融資の分割実行の回数は金融機関によって異なりますが、最大3回までと規定されているケースがほとんどです。
また、つなぎ融資は限度額が設定されている場合があります。その他の融資条件を含めて、事前にチェックしておきましょう。
金利
つなぎ融資の金利は住宅ローンと比較して割高に設定されており、2〜4%前後が目安です。
借入期間は住宅の引渡しまでと短いものの、工期の変更などで引渡しが遅れた場合は、つなぎ融資の支払利息の負担が増える点に注意が必要です。
返済タイミング
つなぎ融資の一般的な返済タイミングは、建物の引渡しが完了して住宅ローンの融資が実行されるタイミングです。住宅ローンの融資を利用して一括返済します。
ただし、つなぎ融資によって発生した利息は住宅ローンの融資実行前に請求される場合があるため、金融機関への確認が必要です。
契約締結の違い
つなぎ融資は住宅ローンとは別の契約となりますが、住宅ローンの融資を受ける金融機関での借入が一般的です。同時に申し込んでも問題ありませんが、最初の支払いに合わせて余裕を持った手続きを進めてください。
また、つなぎ融資の契約締結に伴い発生する諸費用として、融資手数料・印紙代・団体信用生命保険料などが必要です。
分割融資とつなぎ融資はどっちがお得?
分割融資とつなぎ融資のどちらがお得かは、金融機関の融資条件次第であり一概にはいえません。
一見すると、つなぎ融資のほうが金利が高いため返済額が多くなると考えられますが、利用期間は土地購入時から建物が完成するまでの数ヶ月間です。
分割融資は抵当権の設定費用がかかる分高くなり、金融機関によっては手数料などが多くかかる場合があります。つまり、どちらがお得かは利用する金融機関の融資条件や建物が完成するまでの期間、返済タイミングなどによって異なります。
分割融資で資金調達するメリット・デメリット
分割融資で資金調達するメリット・デメリットを下記の表にまとめました。
メリット | デメリット |
● 金利は住宅ローンと同じ ● 条件次第では住宅ローン控除が適用できる ● 手元に現金がなくても支払いできる |
● 融資実行時の手数料や抵当権の設定費用などが高い ● 利用できる金融機関が少ない |
融資を受ける際には金利がかかりますが、分割融資は住宅ローンと同じ金利であり、つなぎ融資に比べると割安です。
また、つなぎ融資では住宅ローン控除が適用されませんが、分割融資では、土地取得から2年以内に居住するなどの条件を満たすと住宅ローン控除を適用可能です。
一方で、分割融資は土地の抵当権を設定しなければならないため、登記費用や手数料などが負担になります。融資ごとに申込と審査が繰り返されるため手数料がかかります。
抵当権の設定費用についても、建物の完成前は軽減措置が適用されないことなどが費用負担が大きくなる理由です。
さらに、金融機関の多くは分割融資を取り扱っていない傾向にあります。低金利が魅力のネット銀行では、分割融資を取り扱う銀行は特に貴重です。
つなぎ融資で資金調達するメリット・デメリット
つなぎ融資で資金調達するメリット・デメリットは以下の表のとおりです。
メリット | デメリット |
● 無担保で借りられる ● 登記費用の登録免許税に減税措置がある ● 登記の必要がないため手数料は安い |
● 無担保であるため金利が高い ● 住宅ローン控除が適用されない |
つなぎ融資は無担保で借りられるため、抵当権の設定費用がかかりません。
また、建物完成前に融資が実行される分割融資とは違い、登録免許税で軽減措置が適用できます。本則税率はローン借入額の0.4%ですが、一定の要件を満たすことで軽減措置の税率である0.1%を適用可能です。
一方で、無担保である分、金利が高く設定されており金利相場は2〜4%とされています。わずか2〜4%と感じる人もいますが、土地や建物の費用に対する2〜4%は大きな額です。
建築中に埋設物が発見されるなどの予想外の事態が発生して工期が延びれば、金利の負担が増えていきます。
つなぎ融資の場合、年末のローン残高から0.7%を所得税から控除される”住宅ローン控除”を適用できません。そのため、登録免許税の軽減措置が適用されたとしても、実際の支出額が大きくなるおそれがあります。
分割融資・つなぎ融資に関するよくある質問
ここでは、分割融資とつなぎ融資に関するよくある質問に回答します。
- 分割融資・つなぎ融資は不要な住宅ローンはある?
- 分割融資中に転職した場合どうなる?
- つなぎ融資と土地先行融資の違いは?
上記3つの質問を順番に解説します。
分割融資・つなぎ融資が不要な住宅ローンはある?
十分な手元資金があれば、分割融資・つなぎ融資ともに必要ありません。
また、建売住宅やマンションであれば、引渡しまでに支払いのタイミングはほとんどないため、利用するケースは多くありません。
分割融資中に転職した場合どうなる?
分割融資中に転職すると再審査が必要になるため、転職はあまりおすすめできません。転職後の状況によっては、返済が難しいと判断され、引き続き融資を受けられなくなるおそれがあるでしょう。
勤続年数を審査要件に設けていない金融機関もありますが、余計な手間と費用が発生するため慎重な判断が求められます。
つなぎ融資と土地先行融資の違いは?
土地先行融資とは、土地購入費用を融資してもらい、追加で建物の融資を契約する住宅ローンのことです。金利が住宅ローンと同じであるため、つなぎ融資よりも安く、条件を満たせば住宅ローン控除も適用できます。
しかし、抵当権の設定費用がかかることや取り扱っている金融機関が限られていることがデメリットです。
分割融資・つなぎ融資の違いを理解しよう
分割融資やつなぎ融資の取り扱いや融資条件は金融機関によって異なるため、1つの金融機関にこだわらず、選択肢の幅を広げることをおすすめします。そのうえで、金融機関ごとの融資条件を吟味して、自分たちの家づくりに合ったプランを検討しましょう。
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